翼~開け放たれたドア~
戸惑いに満ちたその目は、段々と光が強くなった…ような気がした。

「お、れは…」

少し掠れた声で、彼は言った。

「俺は…賛成です」

「……なんで」

どうして、反対しないの。

「……俺が、あなたに姫になってほしいと思ったから。あなたなら、きっと大丈夫だと思うから」

決意が伝わってくる意志のこもった言葉に、私は少し胸が痛かった。

…私は、そんな人じゃないのに。

だけど少しだけ、ホッとした自分がいた。

「……姫、俺はあなたを守りたいです」

“姫”…か。

「……姫呼び止めて。春輝でいい」

「え、でも…」

いいの?というような瞳に頷いた。

「分かりました」

敬語も無くせと言ったけど、それは聞き入れてくれなかった。

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