純愛〜彼と私の物語〜
...あっ、いつもの指圧師さんじゃないんだ...なんだか、若くて見るからに誠実そう...いいなぁ。おじいちゃん。


茉莉愛がキッチンに行くと、母が夕食の支度をしている最中だった。

「ねぇ、お母さん」
「何?」
「なんかさぁ、今日の部活で身体中が筋肉痛なんだけど、おじいちゃんの指圧の先生に私も指圧して欲しいんだけど...。」
「そう。じゃぁ、来週は2人分をお願いしておくわね」
「来週?いや、今日がいい!」
...だって!来週だったらまたいつもの50代の先生かもだし...
「なら、先生に聞いてみるわね」
そう言うと、母は祖父の部屋に入って行った。

「茉莉愛ー!先生ね、丁度今おじいちゃんの指圧が終わったから、いいって」
「本当?ヤッター!」
茉莉愛は心の中でガッツポーズした。



「じゃぁ、横になってください」
健太郎は指圧ではなく、整体を始めた。

「ん?」
戸惑う茉莉愛に健太郎が
「僕、もともとは整体師なんです」
はに噛む笑顔で言った。
「そうなんですか?」
茉莉愛は整体というものを初めて受けた。想像していた、ボキッ!とかではなく痛みもない整体で若い茉莉愛の身体は、みるみるうちに筋肉痛が取れていった。

1時間後、
「どうですか?」
健太郎が茉莉愛に尋ねると、
「すっごく身体が楽になりました。ありがとうございました」
と言ってぺこりと頭を下げた。




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