純愛〜彼と私の物語〜

崩れ落ちる茉莉愛の身体を健太郎は抱き止めた。

「...先生...何で？」

「丁度帰る時だったんだよ。ゴミ捨て場にゴミを出してきて戸締りを確認しに来たんだ」

「それより、大丈夫？僕につかまって！治療院の中で診よう！」

「す、すみません...」

健太郎は、茉莉愛を治療院の中へ入れ、施術台のベッドの上に寝かせた。

そして、素早く茉莉愛の腰に冷たく絞ったタオルを当て、炎症を抑えた。

「...先生...ありがとうございます...」
茉莉愛は申し訳なさと、嬉しさとで、涙が溢れた。

「大丈夫ですよ。丁度、会えて良かった」

「...はい...もし、先生が通りかからなかったら、私...私...」

「いいから。安静にしていて」

「先生...？」

「ん？」

「独立する、って本当ですか？」

「あはは。誰に聞いたの？」

「この前、受付のおばさんに偶然会って聞きました」

「あはは。そっかぁ。うん。そろそろ独立してみようと思ってね」

「...先生！」

「ん？何？」

「携帯の連絡先教えて下さい！私、お手伝いしたいです！！」