遠恋
ただ…それよりも不安だったのは…
地元に残してきたあいつの事だった。

俺が東京の美大に行く事が決まる前に、あいつは就職が決まっていた。

「待っててあげるよ」

そう言って、笑顔で俺を見送ってくれた。
強がりの笑顔だって事は知っていた。

だけど、それでも自分の夢の為には仕方の無い事だと思って、見ない振りをしてしまった。
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