明日、嫁に行きます!
5
昨日はあんまり眠れなかったな……。
清々しい朝のはずなのに、寝覚めが悪いことこの上なかった。
過去の恋愛遍歴を延々思い返していて、結局寝不足になってしまったんだ。
ぼんやりとした頭を抱え、重い足取りでお風呂場へと向かう。
今日は日曜だから、汚部屋処理も最後まで済ませたいし買い物にも行きたいし……。なんて予定を立ててみても、ぼうっとした頭では上手く纏まらない。
シャワーのコックを捻り、冷ために設定したお湯を頭から浴びた。
「私ってホント、ろくな恋愛してこなかったんだよなあ」
過去を遡って、私の中にある「恋」とか「愛」とかを探してみたけれど、該当するものが家族愛以外になくて。
愕然とした。
その上、男を見る目が全くないんだ、私。
付き合った男達は、みんなが認めるダメンズばかり。
けれど、今まで付き合ってきた男達だけが悪いんじゃない。
流されるまま付き合ってきた、自分の優柔不断さが悪いのだとハッキリ分かった。
そういえば、私には悩みを打ち明けたり助言をくれるような「友達」と呼べる存在も少なかったように思う。
私はフランス人のお祖母ちゃん似で、瞳も珍しい紫色をしてる。外見がみんなと違うから、どうしても第一印象で一線を引かれてしまっていた。小学生の頃は、外見が違うからって露骨なイジメに遭ったりもした。イジメに遭ってからは、人と関わるのが怖くなった。怯えるようにしていっつも下を向いていた。
それに、私は可愛げのない性格をしてるし、頑なだし、思ったことをすぐに言っちゃうから、どうしても倦厭されがちで。
それでも話しかけてくれる子がいたら、ただ嬉しくて。必要とされてるんだと信じたくて。
利用されても、罵られても、それでも離れられないでいた。偽りの友情だと知りながらも、縋ってしまっていた。