年下はキライですか?【完】
「き、桐島くん……帰ろう?」
終業時間になり、佐野さんが俺のデスクの前に立ち、朝と同じような顔で呟いた。
「…佐野さん先に帰っててください。俺まだやることあるし」
理由がどうであれ、梨花ちゃんと待ち合わせてることを知られたくなかった。
「あの…さっきの事怒ってる?…その、速水くんの事で言いすぎちゃったかなって」
なんだ、気づいてたのかよ。
でもここは大人の顔を見せねぇと。
「いえ、全然気にしてませんよ?」
にっこりほほ笑むと、佐野さんも気まずそうに笑った。
「桐島くんが残業なんて珍しいよね、あたしも手伝う?」
「大丈夫です」
「そ、そう…………わかった」
佐野さんは少し寂しげに返事をして、タイムカードを押しに行った。