年下はキライですか?【完】





「き、桐島くん……帰ろう?」



終業時間になり、佐野さんが俺のデスクの前に立ち、朝と同じような顔で呟いた。




「…佐野さん先に帰っててください。俺まだやることあるし」




理由がどうであれ、梨花ちゃんと待ち合わせてることを知られたくなかった。



「あの…さっきの事怒ってる?…その、速水くんの事で言いすぎちゃったかなって」



なんだ、気づいてたのかよ。


でもここは大人の顔を見せねぇと。


「いえ、全然気にしてませんよ?」


にっこりほほ笑むと、佐野さんも気まずそうに笑った。


「桐島くんが残業なんて珍しいよね、あたしも手伝う?」


「大丈夫です」


「そ、そう…………わかった」


佐野さんは少し寂しげに返事をして、タイムカードを押しに行った。



< 135 / 175 >

この作品をシェア

pagetop