桜色の恋~3ヶ月の幸せ~
「このまま、聞いて。」
コクンとうなずいたあたしを確認してから静かに話し始めた。
「俺がその人を好きになったのは
幼稚園生の頃だった。
俺たちは毎日のように幼稚園から
帰ってきては遊んでいた。
でも、ある日俺はおやじの仕事の
都合で引っ越すことになった。」
それって、あたしたちに似てる。
でも廉くんがあたしのことをなんて好きなはず無いもんね。
でもそれを分かっていても自然と涙がでた。
「ほんとはその子に一言声を
かけていけば良かったんだけど
そうすると絶対に忘れられなくて
寂しい思いをしなくちゃいけない
と思ったからその子には黙って
引っ越したんだ。
そしたら忘れられると思ってね。
だけどさ、俺その子のこと全ッ然
忘れられなくて中学の三年生になって、
こっちに戻っても良いってお袋に
言われたんだ。」