毛糸玉
「何を不安に思ってる?」
ふと気づけば、
彼は私のすぐそばにいた。
落ち着いた様子で私の顔を覗き込んで、珍しく眉を下げる。
綺麗な唇が何かを私に語りかけようとしていた。
けれど、
何故だろう。
今日は頭が回らない気がした。
「...本当に、どうした」
白い手が私の頬に伸びる。
いつもならその手が私に触れるまでじっと待つ。
けれど‥‥
私はそっと自分の手を差し伸べて彼の手を自分の頬にあてる
「‥源さん‥‥」
目を閉じてただその冷たい手を頬に感じるだけ。
すり寄ったり、
愛おしくてたまらない彼の手を私は離さなかった。
「‥‥熱いね。」
低く耳に残る声がする。
目をそっと開けて目の前の愛おしい人を見る。
彼はとても、とても‥‥‥
‥‥‥ん?
「熱いよ。
風邪かい?」
源さんはもう片方の手で私の額を触っていた
「とても、熱いよ。
布団をひこう。
そこで横になってなさい」
すっ
と立ち上がる源さんに私は掴みよる
「‥だめ」
「‥ん?」
「‥‥だめなの。いかないで」