毛糸玉
私のその言葉に驚いたのか、
源さんは一瞬固まった
自分が熱があるのを、自覚すると周りがぼやけてくる。
慣れない彼の家に取り残されて何処かに行かれるのは嫌だ
私はぎゅっと彼の着物を掴む
「‥‥さみ‥しいから‥‥行かないで‥っ」
そしてゆっくりと見上げた
そこには困惑した表情と、珍しく頬を紅くする彼の顔があった
「‥‥やけに素直だね」
源さんはそういってしゃがみこむとゆっくりと私の腰に手を回し立たせる
「離れたくないというなら、俺の寝室へ連れて行くよ。
そこでゆっくりおやすみ」
額にやさしく唇が触れる
あぁ、冷たい
冷たくて気持ちがいい
源さんの腕のなか、心地がいい。
ずっと‥ずっと‥ここにいたい。
「‥やけに素直だと怖いね〜‥‥」
そんな声がどこからか聞こえた気がした
「源さん‥‥」
大好きな彼の匂いに包まれている中そっと彼の名前をよぶ。
「‥‥
光‥‥‥」