毛糸玉
第一幕
モノズキ
私の家から徒歩10分程のキレイなお花が植えてある公園。
その公園からみて、右に向かって徒歩1分程の小さな畑
その横の裏路地へ続く道でない道をまっすぐ渡り、
信号を1つこえた小さな林だか、森だかの奥にある
しんまりとした日本家屋
特別に大きなわけでもなく小さいわけでもない、
とても日本らしい家がある。
表札には
『一』
の文字。
読み方はわからない。
その家の門をくぐると小洒落た日本庭園があり、
それにそって裏庭へ行くといつもの定位置に彼はいた。
「げーんさん。」
そう声をかけると、猫のような鋭い瞳でちらり、
とこちらを見ると只、一言「またか」と答え、
その“姿”にはに使わない“葉巻”を口へとくわえる。
私の好きな仕草だ。
…けれど同時に私が一番“キラウ”匂いである。
私は縁側に腰掛けて靴を脱ぐと、
和室の方へと逃げる。
「おや、もう上がるのですか。」
その源さんの呼びかけを流して、
自分の定位置へと足を運ぶ。