毛糸玉



…いや、はっきりとは彼の年齢はわからないのだが。

…たぶん二十代中盤だろう…とは…。


「言い返さないと思ったら一人で百面相ですか。
せわしないですねぇ。」


…カチン


今のは結構イラッときました。

「誰のせいだと思ってるんですか。」

「さぁ…?
キミの事は俺にはわからないですよ。」

「またそうやって言う…。」

「おや、何かご不満でも。」

「ありまくりです。」

ドン、と自分の足をたたいて、ジッと彼の黒い瞳を見つめる。
その瞳が一度ユラリ

と揺れたときだった。

「きっと俺の事を考えて乱れているんだねぇ」

「…は?」

間抜けな声を出したのもつかの間。

彼の珍しいマシンガントークが炸裂する。

「俺が優しく猫を撫でている指を見て物欲しそうにするキミも、
俺にフゥと首元に息を吹きかけられた時の反応のキミも、
俺にからかわれて、
少し怒っているキミも

全部俺がさせていると考えるとなんとも、興奮するものがるよね」




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