毛糸玉


路地を抜け、

ネコは信号が青になったのを見て、
ぽてぽてと歩く。


「…賢いなぁ」

そんな事をボソッと呟きながらネコを追いかける。


そして、そこをまっすぐ歩くと、

林が見えた。


…ううん。森なのかな?


その森を覗いてみるとキレイに道ができていた。
その道をそってそのネコが愛らしく歩いて行く。


私は一歩足を踏み入れた



ドクン


心臓が跳ねる音がする。

まるで、ここに入ってはいけない。
そう言われている気がした。

けれど人間は好奇心に勝てるはずもない。

不思議な雰囲気を醸し出すその森は私はゆっくりと足を踏み入れ、
心臓がドクドクと跳ねていくのを感じながら進んでいく。


心臓の跳ねる速度が加速する。

そして私の足もどんどん早くなる。


ネコは一定の速度で歩いているはずなのに、
追いつかない。


「まって、まって…!」


< 9 / 18 >

この作品をシェア

pagetop