私の想い人
「それよか、そろそろ急がないと電車遅れそうだぞ」

お兄ちゃんの言葉に皆一斉に時計を見ると、確かにのんびりはしてられない時間だった。

そのまま、ちょっと急ぎ足で駅に向かう。

「あれ、そう言えば亜美ちゃんは?」

駅に着いて切符を買ったけど、来るって聞いてた亜美ちゃんの姿がない。

「あぁ。あいつとは現地集合。彼氏さんのバイト先が向こうだから迎えに行くってさ」

「そっかぁ。お熱い事で」

あぅ、ちょっと妬みっぽかったかなぁ。

「だよなぁ。てか、俺ら、ある種惨めだよなぁ」

りゅーくんが私に同意してくれる。

「あはは。ホントだよねぇ」

2人で自分の立場を呪ってる所に電車が滑り込んでくる。

< 28 / 56 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop