私の想い人
「優斗君もこっちおいでよー」

「おー。今行くよ」

「りゅーくんも!」

「ああ」

俺らは揃って、その声の方に向かう。

「えへへ。りゅーくん、今日はありがとうね」

悠ちゃんの隣に行くと、俺を見上げながらそう言ってくる。

「いや、俺の方こそな」

「うん。あの、これからもずっとよろしくね?」

「分かってるって」

そっと悠ちゃんの手を取ると、悠ちゃんもぎゅっと握ってくれる。

満点に輝く星と、その空に咲く季節外れの大輪の花。

生まれて初めて見る、大事な彼女との花火。

この光景はきっと生涯忘れないだろうな、そう思った

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