この声がキミに届いたら

現実




萌空side


まだ、実感がわかない。自分が病気なんて……

『ねぇ、拓馬。』

『ん、どーした?』

『…あたし、死なないよね…?』

『お前は死なない』

『…ぅん』

『俺が、死なせないから』

『…だね』

『大丈夫だから』

『…ぅん』

『泣きたい時は泣け。』

『….ぅん』

ぷるるるるっ

その時、拓馬の携帯がなった。

拓馬は携帯にでない

『…拓馬?でないの?』

『…ぁ、あぁ、大丈夫』

拓馬の携帯を取り上げて

『…ぁ!』

着信の相手は


【葵】

女の子?

ねぇ、女の子だよね?葵ってだぁれ?

あたし、知らないよ。中学生の同級生にもいなかったよね?

『…葵ってだれ?』

『…友達だよ』

『…拓馬のばか!』

『…友達だってば』

『もぅ、会わない!帰って』

『俺の事信じてくれねぇの?もう、俺も来ないわ』


浮気?浮気でしょ?

ねぇ、来てくれるよね?拓馬はわかってるよね?あたしの本心。



けれど、拓馬がそれから病室に来ることはなくなった。
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