おおかみ部屋#
終礼後
「なんだったんだろうね~、さっきの異様な緊張感。」
あたしはたまたま席が近くなった、鈴城紗彩(すずしろさあや)と
長い階段を下りながら喋っていた。
「え、ハルちゃんわかんなかった?」
「な、何が?」
「あの、武上勇作の威圧。」
「たけがみゆうさく?そんなんいたっけ~?」
ニカッと笑って紗彩の方を振り向こうと体をねじる。
すると。
ドンッ
誰かに思いっきりぶつかった。
その衝撃でコロンッと転び、一気に下まで転がり落ちる。
ドスンッ
思わずぎゅっと目をつぶって丸まる。
(い、痛くない…?)
やっと痛みがないことに気づいたあたしは、
ソフトな感触に下を見ると、迷惑そうな顔をした男の体が私の太ももの下に。
「ひゃ?!」
「おい。」
「え、ア…あ…。」
「お前、誰なんだよ。」
直視できない。
ジワジワと恐怖が募る。
男はさらに不審に思ったのか、顔をグッと迫らせる。
「え?」
「だから、お前誰って。」
「…。」
「はぁ、あー、もう一回喋っちまったからしゃーねェ。
お前ちょっとこっちこい。」
心配そうに見つめる紗彩をチラリと見やり、
不審な男に手を引かれるままについていくと。
「中庭?」
「普通にわかるだろ。」
俯いたまま、ショボンと小さくなる。
「おれが、武上勇作。」
「えっ?」
不機嫌な顔は変わらないが、まじまじと見つめてみると、確かに、クラスの隅に厳つい顔をさらにこわばらせて座っていたような気がする。
でも。
「なんだったんだろうね~、さっきの異様な緊張感。」
あたしはたまたま席が近くなった、鈴城紗彩(すずしろさあや)と
長い階段を下りながら喋っていた。
「え、ハルちゃんわかんなかった?」
「な、何が?」
「あの、武上勇作の威圧。」
「たけがみゆうさく?そんなんいたっけ~?」
ニカッと笑って紗彩の方を振り向こうと体をねじる。
すると。
ドンッ
誰かに思いっきりぶつかった。
その衝撃でコロンッと転び、一気に下まで転がり落ちる。
ドスンッ
思わずぎゅっと目をつぶって丸まる。
(い、痛くない…?)
やっと痛みがないことに気づいたあたしは、
ソフトな感触に下を見ると、迷惑そうな顔をした男の体が私の太ももの下に。
「ひゃ?!」
「おい。」
「え、ア…あ…。」
「お前、誰なんだよ。」
直視できない。
ジワジワと恐怖が募る。
男はさらに不審に思ったのか、顔をグッと迫らせる。
「え?」
「だから、お前誰って。」
「…。」
「はぁ、あー、もう一回喋っちまったからしゃーねェ。
お前ちょっとこっちこい。」
心配そうに見つめる紗彩をチラリと見やり、
不審な男に手を引かれるままについていくと。
「中庭?」
「普通にわかるだろ。」
俯いたまま、ショボンと小さくなる。
「おれが、武上勇作。」
「えっ?」
不機嫌な顔は変わらないが、まじまじと見つめてみると、確かに、クラスの隅に厳つい顔をさらにこわばらせて座っていたような気がする。
でも。