1641
初デート
■ □ ■ □
約束した日曜日。
11時に駅の大時計の前で待ち合わせ。
今度は時間ぴったりに貴一さんは約束の場所に現れた。貴一さんは背が高いから、駅の混雑する人ごみのなかでも頭ひとつ飛び抜けててすぐに見つけることができた。
「お待たせ。待たせちゃってごめんね」
「いえ、時間ぴったりです!」
なんてお約束なやりとりを交わす。
まるで恋人同士みたいだなんて自惚れる私。けどきっと貴一さんにとって私はただの陸の友達の一人でしかなくて。だから構ってくれるわけで……。
(少しの下心でもあれば良かったのに)
絶対にそっち方面での対象に見られてないんだろうなと思って、そんな馬鹿なことも考えてしまう。貴一さんはたらしだけどなんだかんだで紳士だから。
「じゃ、先にご飯行こうか」
するり。貴一さんの左手が私の右手を掠め取る。ぎゅっと手を握られてドキンと心臓が跳ねる。
「えっ、あの、きいちさん、手……」
びっくりして、ドキドキして、声がひっくり返って上手く言葉が出ない。そんな私の反応を楽しむかのように貴一さんの大きな手がきゅっと微かに力を込める。
「今日は陸君居ないから手出し放題だね。あ、もしかして意識しちゃった?奈々ちゃん可愛いね」
前言撤回。
貴一さんは紳士なんかじゃない。
エロおやじだ。
「ちょっ、ちょっ、恥ずかしいからっ!!離してくださいっ!!」
「えー、どうしよっかなぁ」
私の反応が可笑しいのか、貴一さんはクスクスと綺麗に笑う。
「大丈夫、大丈夫。僕と奈々ちゃんだったら手繋いでても親子に見えるよ」
「もぅー、なんですかそれー。援交の間違いでしょ」
手を離す気のなさそうな貴一さんに、私も観念して肩の力を抜く。笑いながらそう言い返してみると貴一さんがさらにおかしそうに笑った。
約束した日曜日。
11時に駅の大時計の前で待ち合わせ。
今度は時間ぴったりに貴一さんは約束の場所に現れた。貴一さんは背が高いから、駅の混雑する人ごみのなかでも頭ひとつ飛び抜けててすぐに見つけることができた。
「お待たせ。待たせちゃってごめんね」
「いえ、時間ぴったりです!」
なんてお約束なやりとりを交わす。
まるで恋人同士みたいだなんて自惚れる私。けどきっと貴一さんにとって私はただの陸の友達の一人でしかなくて。だから構ってくれるわけで……。
(少しの下心でもあれば良かったのに)
絶対にそっち方面での対象に見られてないんだろうなと思って、そんな馬鹿なことも考えてしまう。貴一さんはたらしだけどなんだかんだで紳士だから。
「じゃ、先にご飯行こうか」
するり。貴一さんの左手が私の右手を掠め取る。ぎゅっと手を握られてドキンと心臓が跳ねる。
「えっ、あの、きいちさん、手……」
びっくりして、ドキドキして、声がひっくり返って上手く言葉が出ない。そんな私の反応を楽しむかのように貴一さんの大きな手がきゅっと微かに力を込める。
「今日は陸君居ないから手出し放題だね。あ、もしかして意識しちゃった?奈々ちゃん可愛いね」
前言撤回。
貴一さんは紳士なんかじゃない。
エロおやじだ。
「ちょっ、ちょっ、恥ずかしいからっ!!離してくださいっ!!」
「えー、どうしよっかなぁ」
私の反応が可笑しいのか、貴一さんはクスクスと綺麗に笑う。
「大丈夫、大丈夫。僕と奈々ちゃんだったら手繋いでても親子に見えるよ」
「もぅー、なんですかそれー。援交の間違いでしょ」
手を離す気のなさそうな貴一さんに、私も観念して肩の力を抜く。笑いながらそう言い返してみると貴一さんがさらにおかしそうに笑った。