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「あれ?もう離れちゃうの?」
「ばかっ!」
恥ずかしくて腕で胸のところを隠した。貴一さんへらりと笑いながらわざと聞いてきて、恥ずかしくてもう顔真っ赤っか。
「きーちさんのえっち」
「男はみんなそんなもんだよ」
恨みがましく言ってみると、へらりと返される。
「だからね、あんまり男を挑発することはしないように」
ぽふんと軽く頭を撫でられて、そんな軽いお説教でまとめれる。
おっぱい当たって焦ってたのは私だけで、貴一さんはいつもと変わりない態度。
(もっとこう喜んでくれたり、照れてくれたりしても良いのになぁ……。
高坂さんよりはあるつもりだったけど、やっぱり小さいのかな……それとも足りないのは色気かな……)
お子様な私じゃ貴一さんには物足りないのかな……と、そんなことを考えてへこむ。
「貴一さん、あたし魅力ない?」
「……なんてこと聞くの、奈々ちゃん」
見上げれば貴一さんは困ったような、呆れたような表情で。
「……だって、貴一さんいつもなんだかんだでエッチしないじゃないですか」
「エッチとか女の子がそんなおおっぴらなこと言わないの!現代っ子怖っ!」
必死な私に貴一さんがわざと冗談交じりにそう返す。私だって下品なこと言ってる自覚はあるもん。わかってるけど、こうして恥をしのんで聞いてるのだ。
「……あのね、奈々ちゃん。奈々ちゃんはまだ子どもだから」
「関係ないよ」
「関係なくないよ」
「……でも、」
でも、と言いかけて、続きを口にするのはやめた。
それでも関係ないと言い返したかったけれど、言い返せばますます子どもみたいな気がした。
「……そうだね、奈々ちゃんがどうしても本当にしたいって言うなら襲ってあげる」
「……え」
「けど、散々煽ってくれたおかげで優しくは出来ないかもね。手加減もしてあげられないし、たぶんいっぱい泣かせちゃうだろうね」
それでもいい?
と、貴一さんが顔を近づけてにこりと笑う。
夜の空気を纏った怪しい笑みに、
ぞくりと体が震えた。