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そのまま試着室みたいなお部屋に放り込まれ、スタッフのお姉さん方に身包みを剥がされた。
その後は、着せ替え人形みたいにあれこれ色々お着替えさせられてしまって……。
「あらぁ!やっぱりとっても可愛いわぁっ!!」
「ほんとだ。奈々ちゃん可愛いー」
「〜〜っ」
数十分後。出てきた私を見てイザベラさんと貴一さんが口々に褒めてくれた。私は恥ずかしくて死んじゃいそうだった。
着せられたのは、チョコレートみたいな茶色のシンプルなワンピース。
首元にはふわふわのティペット。
髪の毛はいつもは下ろしてるのに、高い位置でお団子に纏められてしまって……。
(こんなお嬢様みたいな格好、絶対似合わないからっ!!)
そんな私の心の叫びなんて御構い無しに、貴一さんはにこにこ笑ってる。
「奈々ちゃん、とっても可愛いよ。これ着てやっぱりデートしよう」
「〜〜っ」
嫌とは言えない自分が憎い。
どんなに恥ずかしいと思ってても、好きな人に褒められるとやっぱり嬉しくて。
「まずはレストラン貸し切ってご飯食べて、その後はホテルね。最上階の部屋でジャクジーに薔薇の花びらでも浮かべよっか?」
なんて楽しそうに貴一さんがあれこれとデートプランを話している。
(バブルかっ!! ていうか、それ前に私が話した貴一さんのクリスマスのイメージだし……)
聞き覚えのあるデートプラン。
これは多分からかわれている。
「仲がよろしいことで。そろそろ2人がどういう関係か教えなさいよぉ」
焦ったそうにイザベラさんが言う。
「んー……、僕の隠し子?」
「ちょっ!?」
(またそのネタっ!?)
「まぁ驚いた!貴一くん武勇伝多いとは思ってたけど、隠し子まで作ってたのぉ!?」
(信じるんかいっ!?)
純粋に驚いてるイザベラさんの反応に、こちらが驚いた。しかも素直に信じられてしまう貴一さんって、いったい……。
「確かに言われてみれば、鼻の辺りが似てるわねぇ」
(八嶋かっ!?)
もう心のツッコミが追いつかない。
鼻は全然似てないし、八嶋さんみたいなこと言ってるし。