1641
■ □ ■ □
その夜。
私はとある人に連絡をとった。
(お正月以来だけと、ちゃんと覚えててくれてる……よね?)
そんな不安を抱きながら、パソコンのSkypeの起動させる。向こうもオンラインのままだったので、すぐに私に応答してくれた。
『こんな時間に何の様……?』
パソコンの画面の向こうで、その人……那由多さんが実に迷惑そうな顔していた。
「お久しぶりですー」
一応は覚えててもらえてたみたい。
安心してへらりと笑ってそう返すと、じとっと訝しげな目で見られた。
『寝てたんだけど』
「うそっ、ごめんなさい……。あれ、でもそっちってもうお昼頃のはずじゃ……」
『今、日本に帰ってきてるから』
「あ。そうなんですか……」
貴一さんの弟の那由多さんは、現在イザベラさんのお店のNYの支店で洋服のデザイナーとして働いているらしい。
だから、NYとの時差に気を付けながら深夜に連絡をとってみたけど、日本にいるなんて思ってもみなくて完璧に裏目に出てしまった。
『で?何の様?』
「……それが。あたし、貴一さんに見事に振られましてですね……」
『はぁ?』
「……だから、あの時の約束。叶えて貰おうと思って……」
そこまで話して一呼吸を置く。
画面の向こう側では、いつもクールな那由多さんが動揺していて面白い。
そんな彼の反応も御構い無しに、私は深く深呼吸してこう言った。
「あたしを拾って下さいっ!!」
ごつん。
そんな鈍い音を立てて、那由さんの端末が床に落ちた。
画面の向こうは真っ暗になった……。
その夜。
私はとある人に連絡をとった。
(お正月以来だけと、ちゃんと覚えててくれてる……よね?)
そんな不安を抱きながら、パソコンのSkypeの起動させる。向こうもオンラインのままだったので、すぐに私に応答してくれた。
『こんな時間に何の様……?』
パソコンの画面の向こうで、その人……那由多さんが実に迷惑そうな顔していた。
「お久しぶりですー」
一応は覚えててもらえてたみたい。
安心してへらりと笑ってそう返すと、じとっと訝しげな目で見られた。
『寝てたんだけど』
「うそっ、ごめんなさい……。あれ、でもそっちってもうお昼頃のはずじゃ……」
『今、日本に帰ってきてるから』
「あ。そうなんですか……」
貴一さんの弟の那由多さんは、現在イザベラさんのお店のNYの支店で洋服のデザイナーとして働いているらしい。
だから、NYとの時差に気を付けながら深夜に連絡をとってみたけど、日本にいるなんて思ってもみなくて完璧に裏目に出てしまった。
『で?何の様?』
「……それが。あたし、貴一さんに見事に振られましてですね……」
『はぁ?』
「……だから、あの時の約束。叶えて貰おうと思って……」
そこまで話して一呼吸を置く。
画面の向こう側では、いつもクールな那由多さんが動揺していて面白い。
そんな彼の反応も御構い無しに、私は深く深呼吸してこう言った。
「あたしを拾って下さいっ!!」
ごつん。
そんな鈍い音を立てて、那由さんの端末が床に落ちた。
画面の向こうは真っ暗になった……。