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12/ December

しかえしのキス



12月。どこもかしこもクリスマスカラーに包まれるこの季節。


街中はもちろん、学校の中でもそれは例外じゃない。

掲示物にはサンタのイラストがあったり、文芸部の部室の窓にはサンタやツリーのステッカーが貼ってあったり。

そして、廊下にはなぜだかクリスマスツリーが準備されていたり。


「相沢ー、これの飾り付け手伝ってくれ」

放課後。いつものようにお茶しようと思って保健室に立ち寄ると、保健室前の廊下には大きめのクリスマスツリーが置いてあった。

保健医の森川先生はその飾り付けの最中で、半ば強制的に私もそれを手伝わされることになってしまった。


「なんでこんなツリーが学校にあるの?」

「校長先生が奮発した」

「バブルだねー」



なんてことを話しながら、キラキラのオーナメントをツリーに括りつける。

クリスマスツリーの飾り付けを自分でしてみると、なんだかクリスマス気分が一気に増してくる。



「先生はクリスマス彼女とデート?」

「まぁな」

「付き合ってもう5年だっけ?そろそろプロポーズ?」

「……やっぱり、そろそろだって思うか?」


もふもふの綿を雪のように見たててツリーに乗せていた森川先生の手がぴたりと止まる。


「やだ、先生、まさか本当に……?」

うっかり図星を突いてしまったらしい。恐る恐る先生の顔を覗き込むと、先生はなんだか神妙な顔つきだ。



「こないだ指輪買った」

「おおぅ」


先生の言葉に私も思わず声が漏れる。
プロポーズとか指輪とか、私がそういうのに憧れてるからか、他人事ながらもきゅんとときめいてしまう。


「もしかしてもしかして、先生緊張してますー?」

「しない方がおかしいだろ!?」


茶化す様に私が言うと、照れ隠しなのか先生が怒った風に言い返してくる。

でも耳は真っ赤っか。

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