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大人と子ども
■ □ ■ □
(……って、勢いに任せてやって来たのは良いけど、この後どうやって会わせてもらおう……)
建物に入ったはいいけど、これから先どうしよう。これからのこと、全く考えていなかった。
制服姿の女子高生が会社の社長さんと面会とか、そうそうできるわけもないし。
受付のお姉さんにはめっちゃ不審者な目で見られてるし……。
「あれ、奈々ちゃんさん……だよね?」
右往左往する私に、後ろから声が掛けられた。それも愛称にさん付けで。振り返れば、ヤッシーこと八嶋さんが立っていた。
「どうして、ここに……」
そう言って訝しそうな視線を私に向ける八嶋さん。
確かにもう貴一さんの婚約者でもない私がこんなとこに来るのはかなり不審かも。
「あの、貴一さんに会いに……」
「もう別れたのでは?」
「うっ……」
きっぱり言い返されて私は言葉に詰まる。
この真面目な態度に、馬鹿正直に理由を話しても貴一さんのもとへは連れて行ってくれなさそうだと感じた。
……そこで私は、一か八かの大嘘で八嶋さんを釣ることにした。
「八嶋さん……あの、あたし……
実は、古川貴一の娘なんです!!」
「なっ、なんだってーっ!?」
実は貴一さんの娘でした!
そう大ボラを吹けば、ホールいっぱいに八嶋さんの声が響いた。
ナイスリアクション。
なぜにこんなに騙されるのか、このお兄さん。
「やっぱり、そうだったのか……」
そう言って私の鼻をまじまじ見つめる八嶋さん。だから鼻をガン見するな。
しかも「やっぱり」ってことは、実はまだ私のこと貴一さんの娘だって思っていたみたいだ……。
「えーっと、貴一パパの娘ってことは世間体があるから秘密にしてて、だから……えっと、それで……」
「いい!いい!みなまで言わなくても!わかったから!!俺がちゃんと社長の所まで連れていってあげるから安心しろ!」
適当な話をして貴一さんの所に連れていってもらおうと思ったら、八嶋さんの方で勝手になにか深読みしてくれた。
そうしてそのまま八嶋さんに案内され。
私は、貴一さんの元に辿り着くことに成功したのだった……。
(ちょろいなぁ、ヤッシー……)
嘘ついたのは私の方だけど、ここまで信じられてしまうと私もなんだか申し訳なく思う。
(今度お礼にパンツでもプレゼントしようかな……)
なんて思ってしまったり……。
(……って、勢いに任せてやって来たのは良いけど、この後どうやって会わせてもらおう……)
建物に入ったはいいけど、これから先どうしよう。これからのこと、全く考えていなかった。
制服姿の女子高生が会社の社長さんと面会とか、そうそうできるわけもないし。
受付のお姉さんにはめっちゃ不審者な目で見られてるし……。
「あれ、奈々ちゃんさん……だよね?」
右往左往する私に、後ろから声が掛けられた。それも愛称にさん付けで。振り返れば、ヤッシーこと八嶋さんが立っていた。
「どうして、ここに……」
そう言って訝しそうな視線を私に向ける八嶋さん。
確かにもう貴一さんの婚約者でもない私がこんなとこに来るのはかなり不審かも。
「あの、貴一さんに会いに……」
「もう別れたのでは?」
「うっ……」
きっぱり言い返されて私は言葉に詰まる。
この真面目な態度に、馬鹿正直に理由を話しても貴一さんのもとへは連れて行ってくれなさそうだと感じた。
……そこで私は、一か八かの大嘘で八嶋さんを釣ることにした。
「八嶋さん……あの、あたし……
実は、古川貴一の娘なんです!!」
「なっ、なんだってーっ!?」
実は貴一さんの娘でした!
そう大ボラを吹けば、ホールいっぱいに八嶋さんの声が響いた。
ナイスリアクション。
なぜにこんなに騙されるのか、このお兄さん。
「やっぱり、そうだったのか……」
そう言って私の鼻をまじまじ見つめる八嶋さん。だから鼻をガン見するな。
しかも「やっぱり」ってことは、実はまだ私のこと貴一さんの娘だって思っていたみたいだ……。
「えーっと、貴一パパの娘ってことは世間体があるから秘密にしてて、だから……えっと、それで……」
「いい!いい!みなまで言わなくても!わかったから!!俺がちゃんと社長の所まで連れていってあげるから安心しろ!」
適当な話をして貴一さんの所に連れていってもらおうと思ったら、八嶋さんの方で勝手になにか深読みしてくれた。
そうしてそのまま八嶋さんに案内され。
私は、貴一さんの元に辿り着くことに成功したのだった……。
(ちょろいなぁ、ヤッシー……)
嘘ついたのは私の方だけど、ここまで信じられてしまうと私もなんだか申し訳なく思う。
(今度お礼にパンツでもプレゼントしようかな……)
なんて思ってしまったり……。