1641
あたし、相沢 奈々子
16歳。女子高生。
突然ですが、
おじさんに恋されちゃいました。
■ □ ■ □
去年の秋。親友の彼氏に紹介されて知り合ったおじさんこと…古川貴一さん。
貴一さんは41歳という親子ほど歳の離れたおじさんだけど。話は面白いし気さくだし、普通に仲良くなって現在はメシ友として付き合っている。
そしてこの貴一さんは、たぶん私のことが好きだ。とは言っても告られた訳じゃないけ。でもぜったい好かれてるって断言できる。
だって、貴一さんは一応どっかの社長さんで忙しいはずなのに、私からの誘いは一度も断ったこともない。
バレンタインの時なんて、シャレで渡した黒い稲妻のチョコに馬鹿みたいに喜んでくれたし。
ホワイトデーの時だって、三倍返しどころの騒ぎじゃなかった。
お偉い社長さんが普通の女子高生相手に普通そこまでしないよねってことで……女の勘も含めて総合的に考えた結果、これはかなり好かれちゃったかなぁという結論が出た。
『夕食一緒に食べに行きませんか?』
今だって思いつきでそんなメールを送ってみると、即レスされた。返事はもちろんOKだった。
「どうしたもんかなぁ……」
返されたメールを眺めながら、ぼんやりと考える。
(このままこの関係ってアリなのかな……)
貴一さんのことはどっちかって言うと好きだ。
かっこいいし、優しいし……けど、41歳って歳の差のことを考えるとどうにも気が引けるというか、恋人関係っていうのが想像つかない。
恋人にはなれない。
けど、一緒に居るのは好き。
(うわっ、あたしって狡い……)
最低なのを自覚すると、自分の狡さ加減に自己嫌悪。
(いや、でも、きーちさんも悪いよね。好意だだ漏れにしときながら、告ってこないんだもん。だからあたしもこのままの関係で良いやって思っちゃうわけだし……)
なんて心の中で言い訳する自分は、
本当に狡いお子様だ。