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そうこうして、12月の最初の週末も貴一さんと過すことに。結局またずるずるとおじさんのペースに巻き込まれてしまったわけだ。
金曜日の夕方。
学校帰りに待ち合わせをして、貴一さんとデートする。行き先は、大きなショッピングモール。
ショッピングモールで調理器具を一通り揃えて、スーパーではシチューの材料や、足りない調味料、デザートのお菓子なんかを買ったりした。
一緒にお買い物をする私と貴一さんの姿は、どこからどう見ても父と娘そのもので、そのことがちょっとだけ面白かった。
「お邪魔しまーす」
「はい、どうぞ」
訪れた貴一さんの部屋は、以前と変わりはない。主に、女の人の痕跡がない。そのことに少しほっとした。
買ってきたものをさっそくキッチンで広げてみる。食材はひとまず空の冷蔵庫へ。調理器具は並べて、ひとつひとつ簡単に洗う作業を始める。
「貴一さんちのキッチン広くていいね」
「そう?」
「うん。料理し甲斐があるよ」
ピカピカの広いシステムキッチン。カウンター越しにおしゃべり出来るのもいい感じだ。
「貴一さん、本当に料理しないんだね」
「コーヒーなら淹れるよ」
「それは料理って言いません」
まったく使われている気配のないキッチン。貴一さんの言う通り本当にここではコーヒーしか作ってないみたいだ。実際、冷蔵庫のなかもほとんど空だったし。
この人、自炊なしで今までどうやって生きてきたんだろう……と、少し心配になる。
全部外食?レトルト?
それにしてはスタイル良過ぎだし、肌綺麗だけど。
どうにも謎だ。
このおじさん。