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■ □ ■ □



恋してるかも。


そう自覚してしまうと、古川さんとの同棲もドキドキと緊張の連続だった。
古川さんがたらしなせいもあるけど、ちょっとした仕草や言葉にドキドキしっぱなしなわけで……。





「古川さん、お帰りなさい!」

「ただいま……。わざわざ起きててくれたの?」

「た、たまたまテレビ見てただけですっ!」


古川さんがお仕事で帰りが遅くなった日。一目でも会いたいと思って、私も頑張って夜遅くまで起きていた。
勢い良く出迎えたのは良いけれど、古川さんを待っていたなんて恥ずかしいから悟られたくなくて、つい可愛くない言い訳をしてしまう。


「そう。夜更かしもほどほどにね」

私の気持ちを知ってか知らずか、古川さんはふっと柔らかく笑って私の頭をぽんとひと撫で。

その些細な仕草に、ぎゅっと胸の奥が幸せになる。幸せなのに、泣きたくなるような、不思議な心地がする。



「古川さん、ご飯どうする?」


遅くなるって連絡は貰ってたけど、一応古川さんの分のご飯も用意していた。


「ありがとう。せっかくだし、頂くよ」

「じゃ、温めるね!古川さんは座ってて!!」


古川さんをテーブルへと促して、私はキッチンに入る。


(古川さん、お仕事忙しいのかなぁ……)

料理を温めながら、ふとそう考える。
一緒に暮らしててもお仕事の話は全く話してくれないから、私はなにも知らない。

話してくれないのは、きっと私に気を遣ってるからで。私が世間をなにも知らないただの女子高生だからだ。

つきんと、胸が痛む。


(きっと……古川さんの奥さんになる人っていうのは、仕事の事とか話せて、一緒に支えられるような人で……)


そこまで想像して、気付く。

古川さんの奥さんになる人って、私じゃないんだって。


いくら家同士が決めていた婚約者だって言っても、私じゃ釣り合わない。一目瞭然だ。




(せめて、もう少し早く生まれてればなぁ……)


そんな、どうしようもない事を考えて溜息が無意識に零れた。







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