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はじめてのお泊まり

■ □ ■ □


シチューが美味しかったので、彼の部屋に泊まることになった。


そうと決まると。
夕食を前に、再びショッピングモールへ二人で買い物に出掛けた。約束通り着替えと、それから歯ブラシとか、お泊まりに必要な物を貴一さんが揃えてくれた。

パジャマ代わりのモコモコのルームウェアに、お揃いの下着と、ピンクの歯ブラシ。それからドット柄のフェイスタオル。


ひとつひとつ馬鹿みたいにはしゃいで選んだ。


だって、そうしないと意識しちゃうから。
さっきのキスとか、貴一さんの部屋に今夜泊まるということを。


意識する度に、心臓がすごくドキドキして。足も震え出しそう。




もう一度触れたい。キスしたい。

エッチだってしてみたい。


でも、本音を言うと、正直やっぱり怖い。だってまだ16だし。


期待してる。でも、不安。

そんなぐちゃぐちゃな感情が頭の中をグルグル。





「なーなちゃん、買い忘れない?他に欲しいものは?」

「ないない!早く帰ろ。シチュー冷めちゃったよね、温めなきゃだよ」

「冷めても美味しいと思うよ」


帰ったらまた味見したいね。

なんて笑顔で言う貴一さん。言い方がいちいちエロいので困る。



「〜〜っ、味見はもう無しだから!!」

「えーー」


ショッピングモールを出て、駐車場までの道をそんな言い合いしながら歩く。いつの間にか繋いでいた手をぶんぶん振って。


さっき買い物に来た時は、親子みたいとしか思えなかったけど、今はなんだかそんな感じがしない。



むしろ恋人同士みたい。

大人のキスをしたから?

周りにも恋人みたいにも見えてるかな?

……見えないか。親子じゃないなら援交そのものだもんね。



(まぁ、楽しいからどうでもいいや)


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