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11/ November
甘いカフェラテ
■ □ ■ □
「奈々ちゃん甘いの好きだよね」
11月。始めて会ったあの日から、私は頻繁に彼のいるコーヒーショップに通う様になった。
けど、苦いコーヒーはどうにも苦手。
だから、子供っぽいかなと思いつつも、クリームたっぷりシロップたっぷりの甘いカフェラテをいつも注文するようになっていた。
「うっ、どうせあたしはお子さまですよぅ」
「ごめんごめん、拗ねないでよ。クリーム内緒で多めにしといたから」
ね?と言われて、クリームがこんもりと可愛く盛られたそれを差し出される。
にんまりと微笑まれて、私は悔しいやら恥ずかしいやらで口をへの字に曲げながらそれを受け取った。
今日は比較的お客さんが少ないからか、貴一さんはのんびりしてて、暇ができると私にちょっかいをかけてくる。
その殆どがたわいもない話。
奈々ちゃん、奈々ちゃんと、甘い声で貴一さんが私に話しかける。
「奈々ちゃん」って呼ばれるの好き。
少し恥ずかしいけど、呼ばれる度に嬉しくなって胸の奥がむずむずして、きゅんってなるから。
でも、親友の澪や、他の友だちや、ママにそう呼ばれてもそんな気持ちにはきっとならないと思う。貴一さんだから、貴一さんが呼ぶからだ。
貴一さんの話題は、ぶさかわな猫が居たとか、ラテアートに成功したとか、そんな事ばかり。
しかも証拠の写真付きで。
だから彼のスマホの画像フォルダはゆるい写真ばかり。それを見る度、女の人の影がなくて心の中でほっとなる。
そして、毎回そんな些細なことを気にしてしまう自分に呆れてしまう。
「わー、この猫可愛い。いいなぁ、こんな子飼いたいなぁ」
今見てるのは、可愛い猫のベストショット。可愛過ぎで思わず頬が緩んでだらしない顔になる。そんな私に貴一さんがにこりと微笑む。
「写真いる?送ろっか?」
「いいんですか!?」
私も貴一さんも使ってるのは赤外線機能のついてないスマートフォン。
赤外線でデータのやりとりが出来ないからと、アドレスを交換して猫の写真を送ってもらうことになった。
思い掛けないところで貴一さんのメアドをゲット出来たので、スマホに変えてみて本当によかった。
(赤外線なくても簡単にデータのやりとりできるアプリがあるってことは、絶対に絶対に内緒にしなきゃ)
貴一さんからの受信したメールを見つめ、甘いカフェラテを啜りながら私はこっそりそんなことを思った。
「奈々ちゃん甘いの好きだよね」
11月。始めて会ったあの日から、私は頻繁に彼のいるコーヒーショップに通う様になった。
けど、苦いコーヒーはどうにも苦手。
だから、子供っぽいかなと思いつつも、クリームたっぷりシロップたっぷりの甘いカフェラテをいつも注文するようになっていた。
「うっ、どうせあたしはお子さまですよぅ」
「ごめんごめん、拗ねないでよ。クリーム内緒で多めにしといたから」
ね?と言われて、クリームがこんもりと可愛く盛られたそれを差し出される。
にんまりと微笑まれて、私は悔しいやら恥ずかしいやらで口をへの字に曲げながらそれを受け取った。
今日は比較的お客さんが少ないからか、貴一さんはのんびりしてて、暇ができると私にちょっかいをかけてくる。
その殆どがたわいもない話。
奈々ちゃん、奈々ちゃんと、甘い声で貴一さんが私に話しかける。
「奈々ちゃん」って呼ばれるの好き。
少し恥ずかしいけど、呼ばれる度に嬉しくなって胸の奥がむずむずして、きゅんってなるから。
でも、親友の澪や、他の友だちや、ママにそう呼ばれてもそんな気持ちにはきっとならないと思う。貴一さんだから、貴一さんが呼ぶからだ。
貴一さんの話題は、ぶさかわな猫が居たとか、ラテアートに成功したとか、そんな事ばかり。
しかも証拠の写真付きで。
だから彼のスマホの画像フォルダはゆるい写真ばかり。それを見る度、女の人の影がなくて心の中でほっとなる。
そして、毎回そんな些細なことを気にしてしまう自分に呆れてしまう。
「わー、この猫可愛い。いいなぁ、こんな子飼いたいなぁ」
今見てるのは、可愛い猫のベストショット。可愛過ぎで思わず頬が緩んでだらしない顔になる。そんな私に貴一さんがにこりと微笑む。
「写真いる?送ろっか?」
「いいんですか!?」
私も貴一さんも使ってるのは赤外線機能のついてないスマートフォン。
赤外線でデータのやりとりが出来ないからと、アドレスを交換して猫の写真を送ってもらうことになった。
思い掛けないところで貴一さんのメアドをゲット出来たので、スマホに変えてみて本当によかった。
(赤外線なくても簡単にデータのやりとりできるアプリがあるってことは、絶対に絶対に内緒にしなきゃ)
貴一さんからの受信したメールを見つめ、甘いカフェラテを啜りながら私はこっそりそんなことを思った。