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そうしてお互いの近況を報告し終えると、保健室前のクリスマスツリーの片付けをまた手伝わされることになった。
「なんか名残惜しいね」
ツリーのオーナメントを外しながら私が呟く。
「そうだな」
と、先生が短く返事する。
「クリスマスは先生と歩美の記念日になったもんね」
「からかうなよ。あと、呼び捨てやめろって」
「あはは、ごめんなさーい」
そんな風にツリーを片付けながら先生とふざけ合う。
学校の廊下は寒いし冷たいけど、こうしてふざけ合ってるせいか、心はなんだかとってもほっこりしてる。
「先生さ、前に言ったよね」
「ん?」
「危ないことになったら言えよって」
「ああ」
「こないださ、同じようなこと言ってくれた優しい人がいたのね」
「へぇー。よかったな」
「うん。嬉しかった」
それが貴方の婚約者です。
とは、まだ言えないけど。
いつか教えてあげたいな。
「貴一さんね、本当に悪いおじさんとかじゃないよ。激エロいけど」
「激が付くのかよ」
「うん。けど一応なにもされてないから安心してね」
心配してくれた先生に一応ご報告をば。
そう言ってへらっと笑うと、先生が前みたいにくしゃっと私の頭を撫でた。
「おっさんに油断するなよ。ひどいことされたらすぐに言いえよ」
「うん。そうなったら貴一さんをぎちぎちに絞め上げてね」
(歩美さんと一緒に)
そんなことを思って、こっそり笑った。