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かくして陸と貴一さんとご飯に行くことになった訳で……。


その日の私は朝からそわそわ。


(スカート丈よし!マスカラよし!チークよし! )

髪型や服装を気にしたり、メイクが崩れてないか気にしたり。

それに、見た目以上にもっと気にしなきゃいけないこともあって……。



「あのさ、澪。あたし今日の放課後、陸とご飯食べにいくんだけど……」


学校の昼休み。
なんとなくいい頃合いを見計らって私は親友の澪にそう告げる。

なんてことない風に。
他意はないという風に。



私の親友の澪は、陸の彼女でもある。

高校に入学して少し経った頃、仲良くなれるかなと思って私から澪に声を掛けたのがきっかけで、そして思った通り私たちはとても仲良くなった。

大人しめの澪と私とでは正直タイプが違うけど、それでも不思議と仲良し。今では親友と呼べるるほど。


澪は可愛い。
なんていうか、お人形さんみたいに可愛いし綺麗だ。睫毛が長いあのゴスっぽいドールみたいな。

私はどっちかっていうとエケコ人形似だ。



「あの、あのっ、えっとね、別に陸と2人きりってわけじゃないんだよ?古川さんていう陸の友達も一緒で……っ」


あたふたしながら言葉を付け足す。
エケコ人形似な私が陸と一緒にご飯行っても別にどうって事はないだろうと思いつつも、澪が傷つかないようにと必死になる。

泣かせたらとか、怒らせたらとか思うと不安で仕方ない。澪が少しでも嫌そうにしてたら放課後も行くつもりは無い。



「うん。古川貴一さんだよね?辞めちゃうの残念だね……」

そう言って澪が控えめに笑った。


「会ったことあるの!?」

「一度だけ。面白い人だよね。

陸君から今日の事も聞いてるし、だから別に私のことは気にしなくてもいいよ」



にこりと澪が優しく笑って私の手をぎゅっと握る。


その仕草が可愛くて思わず彼女に抱きついて頬を寄せる。


(あーもぅ、澪可愛すぎ!!私が男の子なら絶対陸から奪っちゃうのに!!)

なんてことをこっそりと思った。



「な、奈々子ちゃん苦しいよ」

「えへへ、ごめんごめん。ありがとう澪。ていうか、澪も会ったことあるなら一緒に来たら良いのに」


「うーん、そうしたいけど……、帰りが遅くなったらお父さんもお兄ちゃんも心配するから……」

「そっか、澪ん家は門限あるもんね……」


うちはいわゆるシングルマザーの家庭で、ママは仕事が忙しくしくて家にいないことが多い。だから結構放任で育ってきたわけで、門限とかあまり気にしたことがない。

実際、今日も週末ということで多少遅くなっても大目に見てもらえるだろうと思う。

つくづく澪と私は正反対だなぁと思う。



「ごめんね、奈々子ちゃん」

「いいよいいよ。お父さんは大切にしなきゃ」

そうおどけて言ってみると澪も安心したように笑い返してくれた。

私にはお父さんが居ないから、正直お父さんという存在に酷く憧れる。厳しくて、不器用で、でも娘にはどうしても甘くなるような……。

澪のお父さんはまさしくそんな理想のお父さん。しかも澪のお父さんだけあってかなり美形。とても素敵なおじさまだ。




「……ねぇ、そういえば澪のお父さんて結構若いよね?いくつなの?」

「えっと、41だったかな」

「……え、あ、そうなんだ」





貴一さんと同い年!!

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