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大晦日の夜に
■ □ ■ □
「つ、疲れた……」
「お疲れ、奈々ちゃん。ほら年越し蕎麦食べよう」
貴一さんの所に戻れたのは紅白歌合戦の後半戦が始まる頃だった。
お土産を渡しに行ったついでにそのまま藤子さんたちの料理のお手伝いをしてきたから。大忙しで、もうくたくた。
しかも、料理しながら貴一さんとのことをあれこれと質問攻めにあってしまったから尚更。
出来上がった年越し蕎麦を「貴一と一緒に食べてらっしゃい」と藤子さんに言われてようやく抜け出せた感じだ。
くたくたになって戻ってきた私に貴一さんがへらりと笑いかける。
「おばさんたち、さっき奈々ちゃんのこと凄い褒めてたよ。料理慣れしてるし、できたお嬢さんだって」
そう言ってよしよしと頭を撫でられる。嬉しいけれど、なんだか複雑。
だって、褒められるほど役に立ってないのだから。
「あたし、むしろ足手まといだったんじゃないかな……」
「そんなことないでしょ。奈々ちゃん料理上手だし?」
「ううん、あたしの知ってる料理のレパートリーは全然役に立たなかったよ。
むしろ、知らないことの方が多いって気づかされた感じ……」
特におせち作りなんて酷かった。
和食も一般的なものしか作ったことがなかったから、おせち作りはわからないことだらけだった。
「だいたい、黒豆煮るのになんで釘入れるの?なんで?あー、もう、カルチャーショック過ぎてへこむっていうか……」
思わずそう愚痴ってしまうと、直美さんが可笑しそうに大笑いした。
「わかる!豆ツヤツヤにするっていうあれでしょ!?あれはビビるよね!」
そう言って直美さんがケラケラ大笑い。半分酔っ払ってるみたいだけど、こうして笑い飛ばしてもらえてなんだか気が楽になった。
「ほら、奈々ちゃん蕎麦食べよう」
「うん」
「つ、疲れた……」
「お疲れ、奈々ちゃん。ほら年越し蕎麦食べよう」
貴一さんの所に戻れたのは紅白歌合戦の後半戦が始まる頃だった。
お土産を渡しに行ったついでにそのまま藤子さんたちの料理のお手伝いをしてきたから。大忙しで、もうくたくた。
しかも、料理しながら貴一さんとのことをあれこれと質問攻めにあってしまったから尚更。
出来上がった年越し蕎麦を「貴一と一緒に食べてらっしゃい」と藤子さんに言われてようやく抜け出せた感じだ。
くたくたになって戻ってきた私に貴一さんがへらりと笑いかける。
「おばさんたち、さっき奈々ちゃんのこと凄い褒めてたよ。料理慣れしてるし、できたお嬢さんだって」
そう言ってよしよしと頭を撫でられる。嬉しいけれど、なんだか複雑。
だって、褒められるほど役に立ってないのだから。
「あたし、むしろ足手まといだったんじゃないかな……」
「そんなことないでしょ。奈々ちゃん料理上手だし?」
「ううん、あたしの知ってる料理のレパートリーは全然役に立たなかったよ。
むしろ、知らないことの方が多いって気づかされた感じ……」
特におせち作りなんて酷かった。
和食も一般的なものしか作ったことがなかったから、おせち作りはわからないことだらけだった。
「だいたい、黒豆煮るのになんで釘入れるの?なんで?あー、もう、カルチャーショック過ぎてへこむっていうか……」
思わずそう愚痴ってしまうと、直美さんが可笑しそうに大笑いした。
「わかる!豆ツヤツヤにするっていうあれでしょ!?あれはビビるよね!」
そう言って直美さんがケラケラ大笑い。半分酔っ払ってるみたいだけど、こうして笑い飛ばしてもらえてなんだか気が楽になった。
「ほら、奈々ちゃん蕎麦食べよう」
「うん」