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そうこうして貴一さんたちと紅白を観ながら年越し蕎麦。
貴一さんちのお蕎麦は山菜とかいっぱい入っててとっても美味しかった。
食べ終えた器を返しに行くと、藤子さんに「お風呂入ってらっしゃいな」と言われたのでそのままお風呂に入ることになった。
「お風呂」というワードに、貴一さんは「一緒に入る?」とまたエロおやじ全開で言ってくる。
「入るわけないでしょっ!!」
「ちぇ」
「40過ぎのおじさんが拗ねても可愛いくないから!!」
「奈々ちゃんの意地悪〜」
拗ねる貴一さん。
私はそんなおじさんの脇を思い切り小突いて黙らせる。もちろん藤子さんに見えない様に。
結局、年の近い和美ちゃんと一緒にお風呂に入ることになった。
古川家のお風呂は露天風呂みたいな造りで、とにかく広かった。二人で入ってもまだまだ余裕があるほど。
和美ちゃんとはこのお風呂の時に始めてまともに話したけれど、とっても気さくで人懐っこい子で、すぐ打ち解けられた。
「奈々子ちゃんって、本当におじさんの隠し子じゃないの?」
「ないない」
広い湯船に浸かりながら和美ちゃんとガールズトーク。また隠し子ネタを引っ張り出されて私は苦笑い。
「まぁ、確かに似てないもんねー。
ヤッシーが鼻の辺りがそっくりって力説してたからさぁ」
「ヤッシー?」
「矢嶋っちのこと。知らない?貴一おじさんの部下の」
「ああ!」
矢嶋か!
私が貴一さんの隠し子ってなぜか信じちゃってるあの残念なイケメンさんだ。
「ヤッシーってさ、真面目だけど馬鹿で可愛いんだよねぇ〜」
と、和美ちゃんは矢嶋さんのことをそんな風に惚気る。お風呂でのぼせているとはいえ、その頬はリンゴみたいに赤い。
これってひょっとして……
「和美ちゃんって、矢嶋さんのこと好きなの?」
思わずそう尋ねてしまう。
すると、和美ちゃんが悪戯っぽく笑ってペロッと舌を出した。
その反応に、やっぱりと思った。
「うん。好きなの。めっちゃね」
ちゃぷんと、和美ちゃんが恥ずかしそうに湯船に顔を沈ませる。
「けど、絶賛片思い中。
しかも、会えるのも正月かお盆くらいでさぁ、いつもはLINEとかでたまに話出来る程度で……」
そう言って和美ちゃんは気恥ずかしさを誤魔化す様にバシャバシャとお湯を波立たせる
片思いで、年の差で、さらに遠距離。
和美ちゃんの恋は私のよりてんこ盛りだ。
「だから!奈々子ちゃん協力してね!」
とびきりの笑顔で、しかも裸で、そう迫られて断れるわけもない。
「もちろん!」
そう言って私が頷くと、和美ちゃんはさらに嬉しそうに笑った。
その笑顔にきゅんとなる。
古川家の人達の笑顔に私はどうにも弱いみたいだ……。