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「浴衣ってエロくていいよね」
「きーちさんのエロおやじ」
用意されたパジャマ代わりの浴衣を着ると、それを見た貴一さんは相変わらずエロおやじっぷりでセクハラ発言。
和美ちゃんじゃないけど、そのうちきっと捕まるんじゃないかって思う。
「奈々ちゃんが可愛いから」
へらりと笑ってまたそんなことを言う。
私は恥ずかしくて堪らない。
だって、お風呂入った後てすっぴんだし、髪だってちゃんとしてない。好きな人にはあんまり見られたくない格好だ。
お泊まりは二回目だけど、それでもやっぱり見られるのはちょっと恥ずかしい。
「もぅ、あんまり見ないでよ」
「えー」
「ほら、貴一さんも早くお風呂入っちゃいなよ!年変わっちゃうよ!」
「はいはい。
じゃ、先に僕の部屋戻ってて。疲れてるなら先寝ててもいいよ」
「はーい。
………………って、えぇっ!?」
お風呂へ向かう貴一さんにさりげなく言われた言葉に、私の思考も一瞬止まる。
だって、貴一さんの部屋って。
先に寝てていいって……。
(えっ、まさか、あたしも貴一さんと同じ部屋で寝るの!?)
いやいやいや。まさかまさか。
そんなことを考えながら貴一さんの部屋に恐る恐る戻ると、案の定ベットの横に布団が一組ひかれていた。
(うそぉ〜〜っ)
へなへなと布団の上にしゃがみ込む。
どうしよう。だって、こんなの恥ずかし過ぎるし、ハードル高過ぎる。
一緒の部屋に寝るのもそうだけど。
今度また布団に押し倒されたら……そう考えるだけで頭を抱えてしまう。
(べっ、別に貴一さんとが嫌ってわけじゃないけどさぁ……けど、やっぱここ貴一さんの実家だし……、そういうのはやっぱちょっと……。
けど、別の部屋にしてって言うのは婚約者役としてはまずいし……、あー、でもまだ心の準備が……)
頭のなかで妄想してゴニョゴニョ。
「あー」とか「うー」とか、奇声を発しながらお布団の上で体育座り。
どうする私、どうなる私……。