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古川家の長女の美琴さんは、藤子さんによく似た美人で。貴一さんに似てよく笑う人だ。
遠くの家に嫁いでいるらしく。
今しがた古川家に到着したそうな。
「たしか女子高生なんだって?
まだ全然若いのに、あんな貴一兄さんみたいなおじさん選ぶことないわよ?」
なんて、冗談半分に言われて苦笑いしか出てこなかった。
それから、お子さんの桜ちゃんと橘くんにもご挨拶した。
二人は双子で今年5歳になるらしい。
この二人の方が、私からしたら貴一さんより歳が近いのだから不思議な気分。
「お姉ちゃん遊んでー」
「遊んでー」
可愛い二人にそう抱きつかれておねだりされる。いつも遊んでくれる和美ちゃんは八嶋さんと今お出掛け中なんだとか。
和美ちゃんの行動力すごい。
「駄目よ、お姉さんは忙しいんだから」
そう言って双子を宥める美琴さんに、私は首を横に振った。
「いえ、あたしなら平気ですよ。ちっちゃい子好きだし」
そう言うと双子が声を揃えて「やったー」と喜び、そのまま両腕を引かれる。
はしゃぐちびっ子に手を引かれ、八太郎も仲間に入れてお庭の真ん中でルールのよくわからない追いかけっこが始まった。
「子どもは元気ねぇー」
屋敷の方から顔を出した直美さんがそう言っている。
普段の私なら雪の日なんて出歩きたくもないけれど。ここは都会ではまず見れない積雪で、ついでに面積も広いからついつい駆け回りたくなるのだ。
ちびっ子二人を追いかけ回し、おんぶしたり抱っこしたり。かなり重労働だけど、楽しくて仕方ない。
「桜、お姉ちゃん好きー!」「俺もー!」と、桜ちゃんと橘くんに好きと言ってもらえて、きゅんと感動。私自身がひとりっ子だから尚更嬉しくてたまらない。
(このままこうして古川家の人々に好かれて、外堀埋めていく作戦もありかも……)
なんて強かにこっそり考えてみたり。