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貴一さんが来てくれたことで、部屋に居た藤子さんや和美ちゃんやちびっ子たちは部屋から出て行ってしまった。

というわけで、現在私は貴一さんと部屋で二人っきりな訳で……。




「……大丈夫なの?本当に」


貴一さんが真剣な顔してじっと私を見る。こんな顔した貴一さん初めて。

いつもみたくへらへら笑ってないのが少し怖くて、思わず萎縮してしまう。



「だっ、大丈夫だよ!?……あの、心配掛けてごめんなさい」

「うん」

「それと、あの……、今日帰るはずだったのに、予定狂わせちゃってごめんなさい」

「……謝らなくていいよ」


それだけ言って貴一さんは私を寝かしつける。普段饒舌なのに、無口なのが怖い。

やっぱり呆れられちゃったかな。
取り乱すほど心配したっていうのは和美ちゃんが大袈裟に話しただけだったのかもしれない。

自惚れた自分が少し恥ずかしい。



「お母さんは?日本にもう帰って来てるの?」

「ううん、明日の昼だよ」

「そう。じゃあ明日になったら僕から連絡入れるから」

「えっ!?いいよ、別に」


ママに連絡だなんて、なに言われるかわかったもんじゃない。恥ずかしすぎる。

そんなことを思う私に、貴一さんは静かな声で「よくないよ」と返した。


「大切なお嬢さん預かってる以上、こんなことになったのならちゃんと親御さんに連絡入れるのが筋ってもんだよ」

「……はい」


叱るように言われ、私は頷くことしか出来ない。

こういう時、大人と子供の考え方って違うんだとつくづく思い知らされる。

子供な自分がただただ恥ずかしかった。





その夜。

貴一さんは、私がいいと言うのも聞かず、ずっと私の側に居てくれた。宴会にも参加しないでだ。



貴一さんは大人だから。
きっと責任とかそういうので付いててくれてるだけなんだろうけど。

それでも嬉しかった。

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