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貴一さんからの返事はすぐに返ってきた。
『本当に? じゃあ、もし時間空いてたら明後日の日曜日なんてどう?』
「うそっ!!」
思わずスマホの画面を見つめたまま大声を上げる。だって、だって、だって貴一さんの方から具体的な約束なんて。
信じられずに何度も画面を見返す。
夢じゃない。夢じゃない。
『日曜日空いてます!』
すぐにそう返事をする。すると、貴一さんの返事も早かった。
『じゃあ決まりだね。また明日連絡する。おやすみ( ˘ω˘ ) 』
ぼふん。
届いたそのメールを見て、私は布団に倒れ込んだ。
(約束しちゃった!!それに、顔文字!!41のおじさんのくせに顔文字!!顔文字!!)
さっきの比じゃないくらい「きゃーきゃー」と奇声を上げながらベッドの上でジタバタともんどり打つ。
するとそこで、「ただいまー」とママの声と玄関の開く音が聞こえた。私はすぐにベッドから跳ね起きて部屋を出る。
「ママ!おかえりなさい!!」
「ただいまー。ってあれ?まだ制服なの?早くお風呂入っちゃいなさい」
制服皺になっちゃうでしょと付け足して小言を言うママに、私は構うこと無く宣言した。
「ママ!!あたし好きな人できた!!」
「好きな人!?」
どさりと音を立ててママの持っていた荷物が床に落ちる。けれどママはそれを気にする様子も無く私に目を向ける。
「彼氏!?片想い!?いつから!?」
「片想い!!けど明後日の日曜日一緒に出かける約束した!知り合ったのはわりと最近!」
ママの言葉に私もまくし立てる様に一気に返す。
すると一拍置いてから、
「きゃーっ!!」とママが嬉しそうに抱きついてきた。私も同じ様にママに抱きつき返す。
「ちょっと!お風呂一緒に入るわよ!もう少し詳しく聞かせなさい!!」
ママが興奮気味にそう言い、きゃっきゃしながら一緒にお風呂に入ることに。
まるで友達同士みたいなやりとりだけど私とママにはこのノリが普通だ。親子でありながらも、姉妹のような関係でもある。
ちゃぷんと湯船に浸かりながら根掘り葉掘り彼の事を聞き出さる。ひとつ答える度にからかわれ、くすぐられて、バスルームに私とママの笑い声が響く。
いろいろ追求されるうちに貴一さんが41歳で、ママより歳上である事もバレてしまった。
けれど、ママはけろりと笑っていた。
「さっすが、あたしの娘!!
いーい?若さでもなんでも利用できるものは利用して、押して押して押し倒すのよ!?」
なんてことを言われてしまう始末。
さすが私のママ。