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数分後。澪もプリントの解答欄を全て埋め終わり、これで私たち二人とも宿題を無事全て終わらせることができた。
「やったー!これで明日から自由だね」
「うん、嬉しいね」
きゃっきゃっと喜び合う私たち。
休みはあと4日もあるし、うんと遊べる。
さっそく澪とは明日も会う約束をする。 明日は街に出て新しい服でも買いに行くんだ。
そうして、明日の計画を立てたりし終えた頃。外も暗くなってきたので私はそろそろ帰ることにした。
「あら、奈々子ちゃん帰るの?夕飯うちで食べてかない?」
今夜はカレーよ。と、キッチンから美味しそうなカレーの匂いが漂ってくる。
澪のお母さんに夕飯も食べて行くようにと誘われたけど、うちでもママが夕飯作って待ってるだろうからと遠慮した。
そうして澪のお母さんとお父さんに挨拶して、澪に見送られて家を出る。
外はすっかり暗くて、風が冷たくてとっても寒かった。
「相沢」
後ろから声をかけられた。
振り返れば、澪のお兄さん……神崎先輩が私を追いかけて来ていた。
「神崎先輩?どうしたんですか?」
「忘れ物、あと母さんが送っていけって」
言いながら神崎先輩は相変わらずの無愛想で私に手袋を差し出した。
そういえば、行く時は手袋してたのに、帰る時はすっかりその存在を忘れていた。
「わーっ!ごめんなさいっ!!」
恥ずかしくて慌てて手袋を受け取る。
私が手袋をはめると、先輩は呆れたような溜息を零して、「ほら、行くぞ」と先を歩き始めた。
「わっ!先輩待ってください!」
先を歩く先輩の後ろ姿を追いかける。
隣まで追いつくと、先輩は微かに歩く歩幅のスピードを落とした。
さりげなく、私の歩幅に合わせてくれてるみたい。
「あのー、わざわざ送ってもらわなくても大丈夫ですよ?」
「……相沢になにかあったら澪が悲しむだろ」
隣を歩きながらへらりと笑って遠慮するも、先輩は頑なで。澪のためと言いながらそのまま歩くのをやめない。
外は街の灯りで十分一人でも平気なのに。
(先輩って、なんだかんだ面倒見がいいよねぇー)
そんなことをこっそり考える。
口に出したらきっとまた睨まれるだろうから。
「じゃ、お願いしまっす!お兄ちゃん」
「誰がお兄ちゃんだ」
調子に乗ってお願いしたら、どっちみち睨まれたけど。