アン・ロマンス
奥の応接間のテレビに張り付いて、ビデオデッキにセーラームーンのビデオを挿入する。

おとうさん、早く帰ってこないで。

そう思いながら、目の前で再生される「奇跡」―――自分が最も欲しいものに没頭した。

ただ目の前のそれに集中して、とにかくこわい現実から目を逸らすしかなかったんだ。
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