復讐と救済
破壊と炎と消失
―――久鳥圭吾。
今日の「削除対象」の名前。
リストナンバーの、上から6番目の男だ。
銃弾に小さくその名を掘り込む。
「Dear Mr K.H」
皮肉をこめたその一行を小さな銃弾に刻み、たった一粒リボルバーにセットする。
これは普通の銃弾と違い、撃ち込んだ相手の記憶をスキャン、ミナタラスタワーのコンピューターに送信する、言わばスパイたる武器だ。
これを今夜、奴の脳にぶち込む事が俺の「任務」。
こんな意味のある復讐があろうか。
世間一般に知れ渡る教訓が全てではない。
現に、今ここにこうして復讐と救済が一体になった奇跡が存在しているのだから、「教訓」などという言葉は意味を持たなかった。