キライ × ときどき × スキな人



夕方、部活してたら外は真っ暗。


それはきっと雨のせいもあるのだろう。


昼間よりも雨あしが強くなった空。


さすがにこんなザザ降りの中、走って帰れないな……。


コンビニまで傘を買いに行く?


でもそのコンビニ自体結構遠いんだけど。


じゃあもうちょっとこのまま雨宿りしとこうか?


見るからに止みそうにはないけど。


自問自答をひたすら繰り返しているあたしに、あの悪魔が現れた。



「ほんと町田は馬鹿だよな。こんな日に傘持ってこないなんて」



この声は。


この憎まれ口は。


振り返らなくともわかる。



「しかもザザ降りじゃん!最悪だな」


「おっ、小野くんはどうしてこんな時間まで?部活休んでるんでしょ」


「ばーか、部活休んでても俺にはやる事があるんだよ」



要は暇してたって事でしょ。


そんな言葉を心の中で毒づいてる間に、ポンッという音を立てて小野くんは傘を開いた。




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