キライ × ときどき × スキな人
「町田さん、昨日小野くんと一緒に帰ったって本当?」
朝、いつもの居心地の悪い席に座っていると駆け寄って来たのは小野くんファンの女子。
「えっ」
何で知ってるの?
ってか一緒に帰ったというか、強制的に連行されたというか……。
「昨日の夜町田さんと小野くんが一緒の傘に入って帰ったのを見たって人がいるんだけど」
やばいこの人、顔は笑ってるのに目が笑ってない。
「それはあたしが昨日傘忘れて来ちゃったから……。それに小野くんも松葉杖で傘はさしにくいからって……」
「へぇー?そうなんだ」
獲物を値踏みするような目。
怖いこわい!
「おっす、何やってんだ?」
ナイスなタイミングで小野くんが登校して来た。
するとその女子は小野くんに向き直り、あたしには背を向けてくれた。
「ねぇ小野くん、昨日町田さんと帰ったって本当?」
「何で知ってんだよ?」
「噂になってるよー、ねぇ本当なの?」
ちらりとこちらに目配せをする小野くん。
だけどあたしはそんな視線にも気づかないフリ。