キライ × ときどき × スキな人
しばらくして小野くんはじっとあたしの顔を見つめてる。
その視線は槍の如くあたしの横顔に突き刺さる。
今、少しでも横を見たら小野くんの放つ槍に突き刺さって死んでしまうかもしれない……。
それくらい何か殺気の様なものを感じる視線だった。
「なぁ、町田」
きた!
「なっ、何?」
横は振り向くまい。
あたしは次の授業のノートに視線を落としたまま、返事を返した。
例えそれが小野くんの機嫌を損ねる行いだとしても。
「人と話すときはちゃんと目を見て話せって昨日言っただろ」
また命令ですか。
いや、こればかりは小野くんの方が正しいってわかってるけど。
「そうだったね。でも次の授業で当たるから予習しとかないといけないし……」
「町田」
声に凄みが加わった。
「はっ、はい」
怖いこわい!
やっぱり小野くんは優しくなんてない。
さっきの女子はこのやりとりを知らないからだ。
知ったらあたしに対して小野くんが優しいなんてこれっぽっちも思わないに決まってる。