キライ × ときどき × スキな人



あたしは勇気を振り絞って、恐る恐る目を向けた。


体を萎縮させ、顔も向けず、ただ目だけを動かした。


その動かした目が捉えたのは、怒った様子でもなくおちゃらけた様子でもなく、ただ挑みかかるような真っすぐした目で見つめる小野くんの姿。



ーー小野くんはズルい。



あたしは男子が少し苦手な上、イケメンは緊張しちゃうからもっと苦手。


だから小野くんは苦手。


それに自分勝手であたしを茶化して笑う小野くんはキライ。


なのに、そんな真剣な顔をする小野くんはズルいよ。


バスケしてる時と同じ顔であたしを見るなんて……。



そんな顔をされたら、あたしは目が離せなくなるじゃない。




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