キライ × ときどき × スキな人
小野くんはそんな簡単に逃がしてくれない。
「おい、待て……っ、いてっ!」
ガタン。
振り向いた先には、怪我をしてる足を抱えて蹲る小野くん。
えっ。
もしかして怪我してる事忘れて立ち上がろうとしたの?
あたしを追いかけようとして?
何ソレ、なにやってるのよ!?
やめてよ、それ以上怪我が長引いたらどうするのよ!
そんな事になったら、もっと長い間世話役させられちゃうじゃないー!!
「おっ、小野くん!大丈夫!?」
駆け寄って小野くんの足を覗き込もうと屈んだ瞬間、
ガシッ!
ーーはい?
「捕まえた」
あたしの腕を掴んでニヤリと笑うイケメン。
しかも小野くんの切れ長な瞳が至近距離であたしを捉えて。
「俺から逃げようなんてあめーんだよ」