キライ × ときどき × スキな人




こっ、こんにゃろ……


騙したな!!



「ちょっと、小野くん大丈夫?」



来た、小野くんファンの女子。


あたしは慌てて腕を振り払った。


イケメンな小野くんを狙ってる女子は多いから、だからあまり近寄りたくはないし、ましてや仲が良いなんて思われたくもない。


変なとばっちりや火の粉はかからないようにするのが一番なんだ。


小野くんは少し不機嫌そうだけど、駆け寄って来た女子に笑いながら、



「足捻挫してる事忘れてて踏ん張っちまった。したらコケた。ダセーな俺」



そう言った後自力で椅子に座った。



「町田も心配かけてごめんな?」



これは嫌味だな。


だって目が明らかに威嚇してるもん。


だけど駆け寄って来た女子に対しては爽やかな笑顔を振り撒き、それを受けた女子はまだ心配そうにしながらも去っていった。


この、二重人格イケメンめっ!


あたしはその言葉を心の中で吐き捨てて、教室を出て行った。




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