ヒカリ
十四
結城からの連絡はぱたっとなくなった。
当たり前だとわかっている。
でも奈々子は気になって何度も携帯を見てしまう。
こちらから連絡する必要もないし、向こうだって連絡する必要はない。
「わかってるんだけどな」
奈々子はそう独り言を言った。
結城からの連絡がないかわりに、邦明から毎日のようにメールが入る。
他愛もない話題。
今日の天気。
仕事での出来事。
最近話題のニュース。
金曜日の夜
「明日の午後、仕事が終わった後、水族館にいきませんか?」
とメールが入った。
邦明からのデートの誘い。
奈々子はとたんに緊張してしまう。
何を話したらいいだろう。
二人きりで食事をして、間をもてあましてしまうことはないだろうか。
「でも付き合ってるんだし」
奈々子は思い切って「はい」と返事をした。