ヒカリ


大きな瞳で見られるたびに、奈々子の心臓は壊れるくらいにどきどきする。
結城は奈々子の首に手をあて、引き寄せる。
背中に腕を廻し、身体を支えた。


奈々子は身体がこわばる。


結城の身体からはシャワーを浴びたばかりの、清潔な匂いがした。

耳元で
「肩の力を抜いて」
とささやかれる。


奈々子は目を閉じた。


結城は静かに奈々子に唇をあわせた。


ミントの香りがする。


頭の中は混乱して、何がなんだかわからない。


「力を抜いて。怖いことは何もないよ」
結城がそう言うと、奈々子の身体は自然と力が抜けていく。


結城が奈々子に深く入ってくる。


柔らかくて、暖かい。
気持ちがいい。


唇を離すと
「息していいんだよ」
と結城が笑って言う。

「いつ?」

「いつでも」
そう言って再び唇を合わせた。


ドキドキしてる。
ずっと、ドキドキしてる。
キスって、こんな感じなんだ。


「もっと、って思わない?」
結城が訊ねる。

「思う」


結城が微笑む。


唇を合わせ、舌をからめる。
奈々子は自然と結城の身体に腕を廻す。
結城は奈々子の髪に指を絡ませる。


優しく、時に激しく。
唇だけじゃなく、身体全部で結城を感じている。


どのくらいの間、唇を合わせていただろうか。
ふと奈々子は我に返る。
顔を離して、結城を見上げた。

お互いに軽く息があがって、頬が上気している。


「もう終わり?」

「あ、あの……」

「大丈夫、これ以上のことはしないよ」
結城が笑う。

「お望みなら、いつでもするけど」

奈々子は心を見透かされ、一気に顔に血が上る。
下を向くと、結城があごを持ち上げる。


それからまた、長い長いキスをした。

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