ヒカリ
暗闇の中、拓海は身体を起こした。
暖かなゆきの肌。
眠っている彼女の肩をなで、それから両手で顔を覆った。
起き上がった気配を感じたのか、ゆきは目を覚ます。
身体を起こした。
暗闇に白い肌が光る。
「拓海先生……後悔してるんですか?」
ゆきが問う。
「……抱いても、抱かなくても、後悔するんだ」
拓海は顔を覆ったままそう答えた。
「わたしは後悔してません。幸せな時間でした」
拓海は顔をあげ、ゆきを見つめる
「幸せだったから、後悔する」
ゆきは黙りこんだ。
「俺は彼女が忘れられない。進めないんだ」
ゆきが拓海の頬に触る。
「忘れなくても大丈夫です」
ゆきが微笑んだ。
なんて幸せそうに微笑むんだろう。
ゆきの顔をみてそう思った。
母の笑顔に似ている。
本当に幸せそうに、愛しそうに拓海を見ていた。
拓海は再びゆきを引き寄せ、唇を重ねる。
彼女の首に、
肩に、
手のひらに、唇をつけた。
それからまた、彼女の暖かさに没頭する。
明け方近くまで、彼女を離すことができなかった。