ヒカリ


日差しの下に出ると、ゆきの装いはよりいっそう目立つ。


ほめたほうがいいのかな。


拓海はそんなことを考える。
でもそんな勇気も出ぬまま、二人は並んで歩いた。


結城ならさりげなく手をつないでるだろうな。


拓海はまたそんなことを考えてから、
「仕事だし」
と邪念を追い払うようにした。


ゆきの身長は、拓海より少し小さいぐらい。
もともと大きくはない拓海でも、横に並んでちょうどいい。


「全部で六十袋ですよね。私、お金を預かってきました」

「結構な荷物になるね」

「帰り、幼稚園に置きにいきましょう」

「そうだね」

「じゃ、先にランチしちゃいます? 私これも調べて来たんです」

「何食べるの?」
拓海が訊ねる。

「老舗のビストロがあるらしいんです。でも拓海先生が何か他に食べたい物があれば、そちら優先で全然大丈夫ですよ」

「いいよ、そこで」

「やった」
ゆきはガッツポーズをして見せる。


その仕草が可愛くて、拓海は思わず微笑んだ。

< 28 / 228 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop