ヒカリ
「須賀さんのファンサイト見ましたよ」
珠美が言った。
「ああ」
結城が苦笑する。
「あれ、非公式ですよね」
「もちろんですよ」
結城は目を丸くして言った。
「おっかけの女の子がいるってことですよね」
「いるらしいんですけど……でも、誰だかわかりません。見かけたこともないし、写真を撮られたっていう記憶もあんまりないんですよね」
「ええ? それちょっと怖くないですか?」
「慣れました」
結城が笑う。
「彼女、いないんですか?」
珠美が大胆に切り込む。
結城は「いません」と言って、微笑む。
「好きな子は?」
鈴木さんがすかさず口を挟む。
「いません」
結城は首を振った。
「じゃあ、どんなタイプが好き?」
八田さんが訊ねる。
「言葉ではうまく言えないですけど」
結城が首を傾げる。
「じゃあ、今まで付き合った子は、どんな感じの子?」
「うーん、どうかな……。ちゃんとおつきあいした子が少ないので」
「いやあ、ガードが固いね」
八田さんが腕を組んだ。
「僕の話なんて、そんなにおもしろくもないですよ」
結城が笑いながら答えた。
「じゃあ、小さい頃はどんな感じの子でした?」
珠美がたずねる。
「愛想のない、つっけんどんな子でした」
結城が顔をしかめてみせる。
「へえ」
「自慢とかじゃないんですが、ある時期からやたらと女の子が寄ってくるようになって、それを鬱陶しいって思ってたんですよね。あるじゃないですか、硬派をきどる時期が」
「いつから方向転換?」
鈴木さんが意地悪く訊ねてみた。
結城はにやっと笑うと
「別に鬱陶しいって思わなくなったってだけです。普通に誰とでもコミュニケーションをとるようになりました。それが大学時代かな」
言った。
「愛想よくしたら、そりゃ楽しかったでしょう?」
鈴木さんが言った。
「はい」
結城はこともなげにうなずく。
周りから、感嘆の溜息がもれた。