ヒカリ
食事を終え、店を出る。
奈々子は結城の二歩後ろを歩いた。
ときどき結城が立ち止まり、奈々子が追いつくのを待つ。
でもまた歩き出すと、奈々子は後ろをついて歩いた。
結城と並んで歩くのは、抵抗がある。
彼が歩くと、周りは振り返る。
そして連れているのが奈々子だとわかると「どうして?」という顔をするのだ。
友達になるのも、随分と大変なことかもしれない。
「歩くの早い?」
結城が立ち止まって振り返った。
「いえ」
奈々子は首を振った。
結城は無言で奈々子の手を取ると、引っ張るように結城の横に引き寄せた。
「並んで歩かないとつまんないよね」
そう言うと、結城は奈々子と手をつないで歩き出した。
ショッピングセンターの中は冷房がきいている。
それでも奈々子は暑くて仕方がない。
軽いパニックになってるようだった。
友達でも手をつなぐ?
いや、あるかもしれない。
手をつないで歩いてる女の子同士を見たことあるし。
ああ、でも。手のあったかい人だ。
結構、ぎゅっと強く握ってくる。
心臓がばくばくしているのを、手を通して悟られてしまうかも。
「ユニクロ到着」
結城が言った。